おはようございます。
昨日、毎日新聞のリリースでとても興味深いニュースがありました。
賃貸物件を契約した際に発生する仲介手数料についてです。
もくじ
ニュース内容のまとめ
- 男性は2013年、賃貸契約に際し、東急リバブルに賃料1カ月分の仲介手数料を支払った。
- 男性は契約前に「報酬額の原則が0.5ヶ月分」の説明を受けておらず「1カ月分を支払う承諾」をしていなかったとして、一部返還を求めて訴訟。
- 判決では、東急リバブルは契約前に男性から承諾を得ていなかったとして報酬の0.5カ月分を返還するように命じた。
賃貸住宅の仲介手数料の原則
貸主借主双方から受け取れる合計額は1ヶ月分
賃貸住宅の契約をする際、手数料は当然のように「賃料1か月分+消費税」とされていることが多いですが、宅地建物取引業法の原則は「貸主と借主の双方から受け取ることのできる報酬額の合計は1か月分+消費税以内」とされています。
依頼者一方の仲介手数料は0.5カ月分
この場合において、依頼者の一方(貸主または借主)から受け取ることのできる報酬額は、0.5カ月分+消費税以内とされています。
なぜ、1か月分+消費税の手数料がかかる?
ではなぜ、実際にお部屋を借りる際は1か月分+消費税の手数料が発生するのでしょうか。からくりは宅地建物取引業法の例外規定にあります。
事前に依頼者の承諾を得ている場合は1ヶ月分まで
今回の裁判でも争点となっていますが、依頼者から事前に承諾を得ている場合は、0.5カ月分+消費税ではなく、1カ月分+消費税に相当する金額以内まで受け取ってよいとされています。
この判決の意義
実務では、承諾を得たとして一方から1ヶ月分を受領することは日常茶飯事です。大手不動産会社を含めほとんどの会社で1カ月分がスタンダードです。そんな実状もあって、東急リバブルという社名だけが出てしまったことはやや同情してしまうのですが、消費者が不利益を被ることはあってはなりません。
判決が出たことによって、当たり前のように1ヶ月とされてきた仲介手数料のスタンダードが変わるきっかけになるかもしれません。そうした意味ではとても意義ある判決に思います。
書面のどこかに「1か月分の手数料を支払うことを承諾します。」の記載が増えるだけかもしれませんが…。