毎年ゴールデンウィークが明けると納税通知書が届きます。
不動産を所有していると課される固定資産税です。
この記事では固定資産税とは何か、都市計画税とは何か、税額、納税義務者、計算などについて触れてみようと思います。
もくじ
固定資産税・都市計画税とは
固定資産税とは、固定資産(不動産など)を1月1日時点で所有している方に課される税金です。一方で都市計画税は、原則として市街化区域内に固定資産を所有している方にかぎって課税されます。
賃貸住宅では貸主(オーナー所有者)が納税義務者なので、借りて住んでいる方(借主居住者)は課税されません。
- 市街化区域:すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のこと。住宅街や鉄道路線(東海道線や小田急線など)のある地域周辺は市街化区域です。
- 市街化調整区域:市街化を抑制すべき区域です。山林田畑など自然の多い場所は市街化調整区域の可能性が高いです。
- 登記:法務局に保管されている帳簿に記載(所有者:○○ ○○)すること。不動産を購入したら所有権登記を行いましょう。
税額と税率
固定資産税と都市計画税の税額はつぎのように計算されます。
- 固定資産税:課税標準額 × 税率1.4% − 軽減額
- 都市計画税:課税標準額 × 税率0.3% − 軽減額
納税義務者・・誰が払うの?
毎年1月1日時点での登記簿上の所有者が納税義務者となります。
納税義務者はその年1年間の納税義務を負います。
賃貸住宅を借りている方は、所有者ではありませんので支払う義務はありません。
納期限はいつ?
固定資産税は一括納付だけでなく、4期に分けて納めることが出来ます。
藤沢市の場合ではつぎのとおりです。
- 第1期:5月末日
- 第2期:7月末日
- 第3期:9月末日
- 第4期:12月末日
年の途中で購入や売却した際

1月1日時点での所有者に1年間の納税義務があるなら、年の途中で売買した場合はどうでしょうか。
ぴったり1月1日から新しい所有者となれば問題はないでしょう。
しかしマイホーム購入など不動産売買は、必ずしも1月1日に取引するわけではありません。登記を管轄する法務局も年末年始は業務停止中のため、1月1日に取引することは実質不可能です。
所有権移転の日をもって日割り清算する
一般には買主が売主に残代金を支払う日(所有権移転の日)をもって日割り清算します。所有権移転の日以降の税額を買主から売主へ支払います。
日割り清算の方法
例えば、1年間の税額が100,000円の不動産があったとし、その不動産を9月1日に所有権移転したとします。この場合の計算式はつぎのとおりです。
売主分100,000円 × 243日 ÷ 365日 = 66,575円
買主分100,000円 × 122日 ÷ 365日 = 33,425円
*1月1日~8月31日=243日 *9月1日~12月31日=122日
したがって買主は売主に33,425円を支払います。
「100円未満端数切り捨て」や「当日を算入するしない」は地域性や事業主によっても異なります。
売主の納税義務は免除されません
一括納付ではなく4期に分けている場合で、たとえば6月中に売却をした際は多くて3枚の納付書が手元に残っているはずですが、これらの納付書は免除されません。たとえ所有権が移転されて買主名義になり、買主が住み始めても納付する義務があります。そのために清算を行います。
納税通知書が届かない
「マイホームを購入したのに納税通知書がこない。」そんな時はマイホームをいつ購入したか振り返ってみましょう。
平成31年度納税通知書が届くor届かないの早見表をご覧ください。
- 平成30年5月15日売買:とどきます。
- 平成30年12月14日売買:とどきます。
- 平成31年1月15日売買:とどきません。
- 平成31年4月30日売買:とどきません。
1月頃に売買すると4ヶ月も経つので届くと思いがちですが、届きません。
万一、平成30年中に売買したのに届かない場合は資産税課に問い合わせましょう。
固定資産税・都市計画税の計算方法
実際どのようにして税額が決定されているかを見ていきます。
細かい計算式と住宅用地以外の軽減制度については省略いたします。
土地の税額計算方法
税額は原則「課税標準額 × 税率 − 軽減額」といった式で求めます。
そのため土地の場合、まずはじめに路線価より課税標準額を求めます。
※この記事では奥行価格補正率や側方路線影響加算率は省略します。

著作権者:一般財団法人資産評価システム研究センター
こちらは藤沢市北部にある湘南台駅周辺の路線価図です。道路上の数字は、その道路に面する標準的な宅地1㎡あたりの価額を示しています。よってオレンジ色の場合は、1㎡あたり284,000円ということになります。
続いて税率です。藤沢市の場合、固定資産税の税率は1.4%、都市計画税は0.25%です。自治体によって異なります。
最後に軽減額です。
住宅用地の場合は軽減が2種類にわかれます。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (200㎡まで) | 価額 × 1/6 | 価額 × 1/3 |
一般住宅用地 | 価額 × 1/3 | 価額 × 2/3 |
よってオレンジ色の対象地が100㎡と仮定した場合の計算式はつぎのようになります。
- 固定資産税: 28,400,000円 × 1/6 × 1.4% = 66,266円
- 都市計画税: 28,400,000円 × 1/3 × 0.25% = 23,666円
家屋の税額計算方法
税額は原則「課税標準額 × 税率 − 軽減額」といった式で求めます。
なお、家屋の場合は路線価より求めるのではなく、新築時に市などの調査員が来て決定されます。家屋は減価償却するため、2年目以降は経年減点補正率を加えます。
軽減額はつぎのとおりです。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
一戸建て | 新築後3年間 税相当額 × 1/2 | なし |
マンションなど | 新築後5年間 税相当額 × 1/2 | なし |
たとえば課税標準額6,340,000円の家屋をお持ちの方はつぎのようになります。
- 固定資産税: 6,340,000円 × 1.4% = 88,760円
- 都市計画税: 7,000,000円 × 0.25% = 15,850円
土地と家屋の合計額
最終的な金額を算出するときはすべての税額を足します。
- 固定資産税: 土地66,266円 + 家屋88,760円 = 155,026円
- 都市計画税: 土地23,666円 + 家屋15,850円 = 39,516円
- 固定資産税155,000円 + 都市計画税39,500円 = 194,500円 土地と家屋を合計した税額が出た段階で100円未満を切り捨てます。
4年目の固定資産税・6年目の固定資産税
一般住宅の固定資産税は、家屋部分が新築後3年間軽減されます。
そのため4年目の固定資産税が一番高く、2倍になると言われています。
では一体いくらになるのか?知りたいところです。将来の課税標準額を確定させることは不可能なので、目安の算出方法を書いていきます。
先ほどの課税標準額6,340,000円は、1㎡あたりの再建築費評点数 × 延床面積 × 経年減点補正率 × 1点評価 で求められています。
再建築費評点数は、3年に1度の評価替え毎に変更されます。

平成30年基準年度 固定資産税評価のあらましより抜粋
そこで、実際には起こり得ないと思いますが、仮に物価変動が一切なく評点数が全く同一と仮定するとき、経年減点補正率を変えれば将来の課税標準額の目安を知ることができます。

こちらのグラフは課税標準額と経年減点補正率の推移を示したものです。
経年減点補正率は経過年数に応じて下がりますが、★マークが評価替え年度になりますから、課税標準額は3年間据え置きとなります。したがって計算式はつぎのようになります。
年度 | 固定資産税の税額計算方法(目安) |
---|---|
平成31年度~令和2年度 | 6,340,000円 × 1.4% × 1/2 = 44,380円 |
令和3年度 | 5,550,000円 × 1.4% × 1/2 = 38,850円 |
令和4年度 | 5,550,000円 × 1.4% = 77,700円 |
たしかに4年目の固定資産税が高くなることがわかりました。
以降は、再建築費評点数が上昇し続けなければ、グラフの様に徐々に税額は下がっていきます。しかし、土地の課税標準額が上昇すれば最終的な税額は下がらずに上がりますので、その点留意しておく必要があります。
最後に繰り返しになりますが、この計算式はあくまで目安を知るものであり標準額を算出するものではありませんのでご了承ください。
あとがき
事前に固定資産税のおおよその額を確認することで購入後のランニングコストを把握できます。売買の際は一般的には日割り清算となります。
路線価図は全国地価マップ等で見ることができます。
ご興味のある方はご自宅付近や検討エリアの路線価を見てみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。